Digging Life

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ブロックチェーンが破壊する音楽業界

今年のはじめ(2017年1月)、"音楽"と"ブロックチェーン"という2つのキーワードをもとにMediumを通じて1つ記事を発表したのが懐かしい。
 

現在は、このコンテンツが単体で約1万PVに近づいてきているがこれまでブレイクスルーが難しいと思っていた音楽業界に、最新のテクノロジー”ブロックチェーン”で一つの破壊が起きるのではないかとウキウキしていたのを覚えている。
 

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ブロックチェーン技術で金融業界に現在起きている変化は、1990年代の「ドットコムのゴールドラッシュ」以上のものではないかと考えている。
ビットコインとイーサリアムは、急速に世界を変えており、「Fintech」という新しいテクノロジーの枠組みで、”仮想通貨”が古い産業が破壊しようとしている。
 
金融業界ですら変えようとしているブロックチェーン技術。ブロックチェーンは、非常に古くからある大規模な産業を破壊する可能性を十分に持っているのではないかとお思う。たとえば、製薬、保険、選挙、エンターテインメントなど。
信頼と透明性がロイヤリティの分配を適正化
ブロックチェーン技術とエンターテインメント産業に関しては、やはり目が離せない。「スマートコントラクト」というものを使うことにより、ミュージシャンとレーベルなどとの契約がブロックチェーンを介して実行できる。
あるバンドがレーベルと契約したとする。売上の70%をバンドが、30%をレーベルが受け取るという契約内容だとすると、1ドル売り上げるごとにこの割合で自動的に分配される。もちろんすべてがブロックチェーンで行われることが前提となる。
もはや、いくら売り上げていくら分配するかを人間が計算することはない。契約通りに実行されるかどうかを人任せにすることもない。すべてはブロックチェーン上で、計算によってはじき出される。
ブロックチェーン技術を支える考え方は「信頼」であり、「透明性」が特徴。すべてがオープンになっていて、ブロックチェーンを通して処理されるものは何であれ、ブロックチェーン上の誰もが、見て確認することができる。
ブロックチェーン技術が音楽業界を揺さぶっているもう1つの側面は、デジタル・プラットフォームでのロイヤリティの分配だと思う。
現状では、アーティストはエコシステムの犠牲になっていることが多い。「Spotify」や「Apple Music」などの大きなプラットフォームにアクセスしたいなら、音楽を聴いてもらうため、1ドルごとに何ペニーかを受け取るという分配方法を受け入れなければならない。
こうしたストリーミング・プラットフォームでアーティストが稼ぐ金額は、1990年代のアーティストがCDの売上で稼いでいた金額とは比べ物にならないはずだ。
ブロックチェーン技術を使って、この問題に取り組もうとしているスタートアップが登場した。オーパス(OPUS)というこの会社は、自分の楽曲をアップロードしたアーティストが、売上の98%を受け取ることができるというストリーミング・プラットフォームを提供している。
オーパスの根底にあるのは、音楽業界の3つの大きな問題、すなわち、売上の分配、検閲、透明性を解決するという考え方だ。ここに、ブロックチェーン技術を使うことによる利点がある。なぜなら、これら3つのすべてを実現できるからだ。
売上の分配は、アーティストにロイヤリティの98%を与えることで解決するし、検閲の問題は、権利がアーティストの手に残ることで解決できる。レーベルはもはやアーティストから売上を隠すことができないのだから、透明性も実現可能だ。
オーパスは、彼らの現在ICO(Initial Coin Offering)を通して資金を調達している。
音楽系サービスで人気のストリーミング・プラットフォームの1つ「SoundCloud」でさえ、急速に資金が不足してきていることを発表している。
やはりブロックチェーン技術は、世界中の産業におけるビジネスのやり方を根本的に変える魅力を持ち合わせている。
オーパス(OPUS)が実現しようとしている世界が早く目の前に見えるようになってくれるとすごく嬉しい。